十勝&日高の旅 その壱・蕎麦&温泉編

十勝&日高の旅 その壱・蕎麦&温泉編

2020年6月某日

美瑛・四季彩の丘で
写真を撮りに来ていた
帯広の坂井さんご夫妻と出会った。

「近々帯広方面への旅行を計画中なのですが
どこかいい撮影ポイントはありませんか?」
と訊いたところ
「今なら、ばん馬の仔馬が撮れますよ!」
と思い掛けない話が飛び出した!

「ばん馬」とは
農耕用の巨大で筋肉質の馬で
「どさんこ」とも呼ばれている。

北海道開拓には
欠かせない働き手だったものの
近年の農業機械化の波に押されて
活躍の場がほとんどなくなってしまった。

しかし
農業王国・十勝の
中心都市・帯広市で開催されている
「道営・ばんえい競馬」なら
その勇姿を見ることができる。

「ばんえい競馬」は
ばん馬に
重りを載せたソリを引かせて
二つの坂を上り下りして
着順を競わせるのだが
先頭を順調に走っていた馬が
坂の途中で立ち往生する様子を
テレビなどで見たことがある人もいると思う。

観客もゴールまで一緒に歩いて
お目当ての馬に声援を送ると言うのだから
もしそばで見られたら
すごい迫力だろう。

そんな
「ばんえい競馬」の写真を
いつか撮ってみたい
とずっと思っていた。

「帯広」と「ばん馬」が
坂井さんの話で突然つながった!
しかも
その仔馬が撮れるなんて
夢のような話だ。

6月27日
旭川出発。

この日まず目指したのは
帯広の隣町・清水町の蕎麦屋「目分料」。

帯広行きの時は必ず立ち寄る
ここは30年来のお気に入りなのだ。

目分料

しかし
この店には致命的な難点がある。

それは早く閉まりすぎること。

開店は午前11時だが
午後1時頃には
蕎麦が売り切れて
閉店してしまうのだ。

ひどい時には
12時過ぎには閉店してしまうため
ここ2年ほどは
間一髪間に合わず敗退が続いていた。

旭川から3時間掛けて来て
アウトなのだから
その失望感たるや相当なものだ。
ガックリ疲れる。。。

だから今回は11時前に到着!
さすがに一番乗りだった。

お目当ては
「鶏ごぼう」

しかし!
久しぶりだったので
勘違いして
「鶏ごぼう」を
単品で頼んでしまった!

SOBA
こちらが間違って頼んだ単品の鶏ごぼう
旬ではなかったためかゴボウの香りはイマイチ
soba
別途頼んだ山菜の天ぷらと海老天1本

本当に食べたかったのは
「相乗り」。

「相乗り」とは
冷たい汁と温かい汁の
二つが付いてくる蕎麦。

これが相乗り!なんと2008年の写真!

この「相乗り」には
「鶏ごぼう」の他に「鴨南」がある。

30年前
初めて食べたのは
「鴨南」。

美味しかったけど
ボクには
鴨の脂がキツすぎたので
二度目は期待を込めて
「鶏ごぼう」を食べた。

これが大ヒット!

驚くほど柔らかく
旨味の強い鶏肉に感動!
そして何よりも
「ごぼう」の香りが素晴らしい!

今にして思えば
新鮮なごぼうの穫れる時期と
重なっていたのだと思うが
「牛蒡」という
どちらかといえば地味な食材が
かくも素晴らしい香りの持ち主だったのかと
心底驚き感動したのだった。

そんなわけで
以来
「目分料」では
「相乗り」の「鶏ごぼう」
しか頼まなくなった。

にもかかわらず
それを忘れて
単品を頼んでしまった
自分を呪いつつ
次の目的地
「秘湯・かんの温泉」に向かった。

すっかりきれいになっちゃって!(^^

30年前に
初めて行った時の
「かんの温泉」は
文字通りの秘湯だった。

鹿追町から然別湖に向かう道道から
横道に入り
裏大雪の狭く猛烈に凸凹な林道を
1時間以上走る。

車が壊れるかと思った頃
やっと終点「かんの温泉」に
辿り着く。

そこには
ものすごく古めかしい木造の建物があり
玄関と思しき
立て付けの悪い引き戸を開けると
薄暗い納屋のような空間があり
廊下らしきものが土間を横切っている。
その廊下をまたぐと
さらに引き戸があり
開けてみるとまた外に出る。

この段階で
すでに
かなりミステリアスで心細くなる。

引き戸を開けると
目の前に鹿が5〜6頭も立っていてギョッ!!
立派な角の雄鹿もいてビビる。。。

彼らは
雪が地熱で溶けて顔を出した
地面に生えている
わずかな草を食べているのだ。

一斉にジロリと睨まれて
思わず腰が引けたが
美女を伴っていたこともあり
意を決して
「すんません。お邪魔します。」
と恐る恐る横をすり抜けると
やっと本物の玄関にたどり着く。

という具合で
凄いところだと話を聞いて
覚悟はしていたものの
あまりの凄さに度肝を抜かれた。

この温泉は湯治の宿として有名で歴史は古い。

しかし
車でも
こんなに大変なのだから
当時の人は辿り着くだけで
具合が悪くならなかったのか
心配になるほどだ。

何も好き好んで
こんなとこまで湯治に来なくても。。。

建物は
基本的に中廊下式。
長い廊下と階段に沿って
独立した小さな風呂場が
左右に点在し
男湯と女湯の別に
札が掛かっている。

一番最後下りきったところに
大浴場があった。

すべて泉質が違う。

薄暗く湯気がこもって
レジオネラ菌の巣のような
岩風呂があり
大浴場の床の一部は
温泉の成分が結晶化して
ギザギザで痛くて歩けない。

しかし
どのお湯も
泉質が素晴らしく
湯温も違うので
とても個性的。

これこそが
昔から
人を惹きつけてやまない
「秘湯・かんの温泉」の
魅力なのか!
とすぐ合点がいった。

が、しかし
何しろ古くて暗くて
キレイじゃない。。。

さらに
風呂同士がつながっていないから
次の風呂に行きたければ
毎回服を着て
風呂道具を抱え
廊下と階段をかなり歩かねば
ならないという不便さが
いくら秘湯でも凄すぎる!

「なんちゅうとこやねん!」
と思ったが
考えてみれば
湯治で何ヶ月も泊まり込んでいた人たちは
「今日はどの風呂に入ろうか?」
と七輪で干し魚を焼きながら
のんびり思案しながら
日々過ごしていただろうし
丹前一枚のはずだから
脱ぎ着するのは簡単だったろう。

風呂でさえ時計を離さず
分刻みで
物事を考える我々とでは
時間的尺度そのものが
まるで違ったのだろうと思う。

だから「秘湯」に来て
不便さに癇癪を起こしてはいけないのだ
と「かんの温泉」は教えてくれた。

幸いなことに
同伴した美女はお湯派であり
ワイルド系免疫の持ち主だったので
まさに
「秘湯中の超秘湯・かんの温泉」に惚れ込み
その後何度も通うことになった。

しかし
まもなくして
後継者がおらず
老朽化が激しいため
「営業継続断念」
という記事が新聞に載った。

とても残念だったが
「あれじゃなぁ。。。」と思う
気持ちの方が正直言って強かった。

数年後
営業を再開したという記事を
見つけてうれしかった。

しかし
旭川からはあまりにも遠く
あの時の美人もいなかったので
積極的に足を向けることはなかった。

それから20年!

あの狭く曲がりくねった林道は
すべてキレイに舗装され
快適そのもの!
あまりの変貌ぶりに驚き
20年という歳月の長さが
いかに長いものか思い知った。

きっと後継者が現れた時点で
地元行政がバックアップして
道路整備に取り組んでくれたのだろう。

それでも遠いので
「まだ、かいな?」
と少し不安になった頃
やっと到着する。

まず建物そのものが
新しくキレイになっていて
びっくり!
こじんまりとはしているが
薄暗く陰鬱な雰囲気は微塵もない。
すべてが明るく
優しい雰囲気で迎えてくれるし
出迎えの鹿もいなかった!

ただ
自動券売機が
「あちゃ~」って感じだが
ご主人が
一人で頑張っているようだし
省力化のためには仕方ない
と納得。

風呂に入ってさらに感激!

脱衣所には
鍵付きのロッカーもあれば
ドライヤーもある。
なんて近代的なんだ!
これが
あの「かんの温泉」か?
と隔世の感。

浴室は
とても清潔で素敵!

もちろん泉質は最高で
手足を伸ばして首まで浸かると
はるばる来て良かったと
しみじみ思う。

今日は目分料の鶏ごぼうも食べられたし
ばん馬の仔馬にも逢えるかもしれない!
なんていい日だろうと思いつつ
心身ともに芯からゆったり癒やされる
そんな至福の時間を味わった。

しかし!
暗めの階段を降りたところには
以前のままの大浴場が残されていた。
あのギザギザの床も健在だ。

今のオーナーが
「かんの温泉」の良さを
よくわかっている人で
本当に良かった!

もちろん
浴室は一つに連結されたので
いちいち服を着る必要もなくなった(笑)

とにかく「新生・かんの温泉」は
新しさと歴史を感じる古めかしさが
同居していて
過去を知る者としては感動の嵐!

以前の「かんの温泉」なら
赤軍派(古い!)やオーム真理教でさえ
敬遠しそうな雰囲気だったが
今やアイドルが
お忍びで来るかも
と思うほど快適だ。

その分「秘湯の雰囲気」は
限りなく薄まったから
嘆く人もいるとは思うものの
もしこの温泉が復活しなかったら
裏大雪のこんな山奥まで
はるばる来ることは
絶対ないだろうと思う。

来たことのない人には
この秘境と言える環境と
絶品のお湯をぜひ味わって欲しい!

宿泊も可能なようなので
山奥の静かな環境で
のんびりしたいという人は
ネットで検索してみるといいだろう。

帰ろうとした時
事件が起きた!

子鹿が玄関ドアの前に
立ちはだかって動かないのだ。
外に出られるまで相当待った。

待ってあげたくなるのだ。

やはり
「秘湯・かんの温泉」は健在だった(^^

さぁ!
いよいよ仔馬に逢いに行くぞ!

十勝&日高の旅 その壱・蕎麦&温泉編” への2件のフィードバック

  1. おはようございます。
    暫くぶりの記事を楽しく読ませていただきました。
    美味しい鶏ごぼう、相乗り残念でした。(^^♪
    かんの温泉は行ってみたい気はしますが、秘境は苦手です。以前秋田の秘境に行きましたが、落ち着かなかったのを覚えています。
    いよいよ仔馬ですね・・・楽しみにしています。

    1. rerumoon様

      返信が大変遅くなってしまって申し訳ありません。
      なんだかいろいろあり過ぎてブログの更新ができませんでした。
      仔馬は今回久しぶりにUPする記事の後です。。。

コメントを一言書いていだけるとうれしいです。